公判を活性化するための公判前整理手続の技術を身につけよう!

裁判員裁判対象事件では公判前整理手続が肥大化しています。裁判所は、裁判員抜きの非公開の手続のなかで、検察・弁護双方に出来るだけ詳細な「間接事実」を主張させ、ときには「認否」までさせて、「争点」を絞り込もうとします。公判で取り調べる証人の数を出来るだけ少なくしようします。裁判官は、公判が開始される前に、裁判員が選任されるまえに、事件についての心証を得てしまいます。公判審理は、裁判官にとってわずかに残されたパズルのピースを埋めるためだけの作業になってしまいます。

後から参加した裁判員は、事件の全体像や背景事情などについて、直接証人の言葉を聞くことができず、検察官が用意した「統合捜査報告書」などの書類の朗読を聞くことしかできません。複数の証人による様々な角度からの証言を聞いて関連証拠をじっくり吟味する機会を持つともできなくなります。裁判官と対等の事実認定者であるはずの裁判員は、裁判官の手の内でその指導にしたがって判断することを強いられることになります。こうして、刑事裁判に健全な社会常識を反映して公判中心主義・口頭主義を復活することを目指した裁判員裁判は形骸化の危機に瀕しています。

他方、裁判員裁判非対象事件では、たとえ事実に争いがある事件でも裁判官は正式な公判前整理手続をやりたがらず、これをできるだけ避けようとします。裁判官はフォーマルな手続を嫌い連日開廷の集中審理をさけようとします。その結果、検察官が必要にして十分な証拠を開示するという保障もないままに、公判は昔のようにだらだらと続くことになります。

連日開廷の集中審理のなかでわれわれが依頼人のために法廷技術を発揮するためには、憲法と法の趣旨に則った公判前手続を行う技術と力量を身につける必要があります。そこで、当アカデミーでは、毎年公判前整理手続のノウハウを伝授するワークショップを開催しています。今年は公判前整理手続だけでなく、ケースセオリーを構築するためのブレインストーミング(TT法)も実施し、公判審理を見据えた弁護活動をシミュレーションする2日間のワークショップとして生まれ変わりました。シミュレーション授業と講師のクリティークを通じて、皆さんに明日から実践できる公判前整理手続の技術を学んでいただきたいと思います。ぜひ受講をご検討ください。

【日程】

2018年12月15日(土)・16日(日)

12月15日(土)
9:30 ~ 9:45 集合・オープニング
9:45 ~ 10:15 打合せ期日の実演と講評
10:15 ~ 10:30 休憩
10:30 ~ 10:50 ミニレクチャー「証拠開示」
10:50 ~ 11:30 ディスカッション「証拠開示」
11:30 ~ 11:45 休憩
11:45 ~ 12:15 第1回公判前整理手続期日の実演と講評
12:15 ~ 13:45 昼食+準備
13:45 ~ 16:15 ブレインストーミング
16:15 ~ 17:45 予定主張と証拠意見の作成
17:45 ~ 18:15 講師検討
18:30 ~ 懇親会(会場周辺を予定)

12月16日(日)
9:30 ~ 9:50 ミニレクチャー「予定主張」
9:50 ~ 10:30 ディスカッション「予定主張」
10:30 ~ 10:45 休憩
10:45 ~ 11:15 予定主張提出後の公判前整理手続期日の実演と講評
11:15 ~ 11:35 ミニレクチャー「証拠意見と合意書面」
11:35 ~ 12:15 ディスカッション「証拠意見と合意書面」
12:15 ~ 13:15 休憩
13:15 ~ 13:35 ミニレクチャー「説示案」
13:35 ~ 14:15 ディスカッション「説示案」
14:15 ~ 16:15 ディスカッション「公判前整理手続一般」
16:30 ~ 17:00 クロージング・修了証書授与

※タイムスケジュールは変更になる可能性があります。

【会場】

TATA法廷教室(東京都新宿区揚場町2-1軽子坂MNビル2F)

【主な講師陣】

高野隆、坂根真也、金杉美和、高山巌、趙誠峰、我妻路人

【テキスト】

2018年11月中旬に発送します。

【受講料】

10万円(施設利用料、資料代含む)
※交通費・宿泊費等は各自でご負担ください。

【応募方法】

受講申込書に必要事項をご記入いただき、下記宛にファックスかメールでお送りください。定員は16名です。先着順とさせていただきます。

【お問い合わせ先】
〒101-0025
東京都千代田区神田佐久間町2-7 第6東ビル901 高野隆法律事務所気付
Tel: 03-5825-6033 Fax: 03-5825-6034 Email: komatsu@takanolaw.jp
一般社団法人東京法廷技術アカデミー 事務局 小松圭介